子持ち女性が転職の際に知っておくべき4つの知識

子持ち女性が転職する際に「子持ち女性を採用してくれる企業はどれくらいいるんだろう...」といったような不安を抱えるのも無理はありません。

子持ち女性に転職先が見つかったとしても、残業が多く、子供の育児や家事がままならないような企業では家庭を育むことも2の次になってしまいかねませんよね。

近年共働き世帯の増加に伴い、子持ち女性が再就職や転職の道を選ぶケースが増えています。

共働き世帯の推移

引用元:「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版」男女共同参画局

共働き世帯の増加の影響を受けて、子供を育てるために女性も再度仕事をせざるを得ないような状況も増えてきています。

そこで元々リクルートで数百社の人材採用支援を行なってきた筆者が、企業担当者からヒアリングしてきた本音を元に、転職市場での子持ち女性のイメージや子持ち女性にとって理想的な転職を実現するためのポイントや転職先選びの基準、オススメの資格についてご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 子持ち女性に対する採用担当者のイメージ
  • 子持ち女性が理想的な職場へ転職成功するためのポイント
  • 子持ち女性にオススメの転職先選びの基準
  • 子持ち女性にオススメの転職に有利となる資格

子持ち女性は転職市場で求められるの?

子持ち女性の転職イメージ画像

転職市場において、子持ちの女性は受け入れられる傾向にあるのでしょうか?

私自身がリクルートで営業をした際に子持ち女性については以下のような意見を採用担当者から聞いたことがあります。

プラスの意見
  • 子どもがいる女性は家族を支えるためによく働くので離職しにくいから採用したい。
  • 女性高齢者相手のスポーツジムなので、子持ち女性でも大歓迎。
  • うちの会社は育児休暇制度が充実しているので、業務経験や能力があればその人に応じた雇用形態で採用したい。
  • シングルマザーは家族を1人で支えていこうという気概があるから、ちょっとしたストレスで辞めたりしないので積極的に採用したい。
マイナスの意見
  • 子供を産んだ人が新たに子供を産んで、産休に入るケースがあるため重要なポジションでの採用は避けたい。
  • 育児のために、仕事を早めに切り上げられると、緊急時の対応に困る。

上記のような意見をこれまで多くの会社に赴いて、採用の相談を受けた際に聞いたことがあります。

私の経験上、各企業の子持ち女性の採用に対する積極性は、以下の要素に左右されると考えられます。

子持ち女性の採用に積極的な企業を見分けるポイント
  • 企業がターゲットとする顧客の属性
  • 早退等に柔軟に対応できる組織の人員体制の有無
  • 子持ち女性の在籍割合
  • 女性に適正がある職種かどうか

企業がターゲットとする顧客属性が子持ちの女性である場合、カスタマーの心情や悩み事を把握しやすいことから採用される可能性が高い傾向にあります。

子どもが体調を崩した場合等の早退に対応できる組織の人員体制が整っているかどうかも採用の可否を左右します。

 

人員体制については面接の際に、自身採用された場合に配属されるチームのメンバー数や同じ業務を請け負うメンバーの数等を聞くことで把握することができます。

 

子持ち女性の割合も参考になるでしょう。
とはいえ、子持ち女性の社員割合を公表している企業が少ないため、女性社員のインタビューを見て子持ち女性に向いてそうな職場か判断するのが現実的な方法といえますね。

子持ち女性が転職活動する際のポイント

子どもがいる場合、子どもが保育園等で体調を崩して迎えに行く必要が出たりと急に仕事を早退する必要があるシーンも多々あります。

また、学級参観などの行事に参加したり、PTA役員としてのやるべきことをこなすために、仕事を休んで子供のために尽くしたい日もあるのが母親です。

 

子持ち女性が育児と仕事を両立できる職場への転職を成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

ここでは子持ち女性が転職を成功させるために知っておくべきポイントを解説します。

実績や資格により即戦力をアピールする

子持ち女性に限らず、ポテンシャル重視で採用される20代とは異なり、30代以降はこれまでの実績や業務経験、資格の有無に関する評価が採用の有無の決め手になるケースが多くなります。

以下の点に注意して実績や資格に基づいた自己アピールが出来るようにしましょう。

即戦力をアピールする自己PR作成の手順
  1. 応募先で求められる能力を洗い出す。
  2. 自身に求められる能力があることを示す実績や業務経験を抽出する。
  3. 具体的に数値を入れて自己アピールを考える。

以下のような根拠の薄い潜在性をアピールするような自己PRは30代以降の転職面接においてはNGです。

30代以降の転職面接でNGな自己PR
  • 「私にはどんなことにも挫けない我慢強さがあります。」
  • 「私にはリーダーシップがあります。」

下記のような数値に基づいた具体的な実績や業務能力を伝える自己アピールが望ましいでしょう。

30代以降の転職面接でOKな自己PR
「過去にカスタマーサポート業務に△△年間従事した際に解約率を××%まで下げることに成功しました。カスタマーサポートで培って実績を出した顧客対応力を御社で最大限に活用し、解約率を下げたいと考えています。」

転職先選びの基準に関する優先順位を決める

転職先選びにおいて、子持ち女性の理想とする職場を追求すればするほど、転職先の条件が多数頭に浮かんできますよね。

例えば以下のような条件が頭に浮かんでくるのではないでしょうか?

  • 家から近い
  • 柔軟に勤務時間を設定できる
  • 育児休暇制度がある
  • リモートワークができる
  • 託児所がある

しかし、これらの条件を全て兼ね備えている企業は世の中にほとんどないでしょう。

しかも、こういった条件を全て満たす僅かな企業から採用される保証もどこにもありません。

 

自身の子供の年齢や学校行事等の状況を踏まえた上で、どの条件を重視すべきか優先順位を付けることをお勧めします。

初めの段階では、複数条件を満たす求人への応募を検討し、その後の転職活動の状況に合わせて徐々に条件を緩めて転職活動を行うと良いでしょう。

福利厚生が充実した企業を選ぶ

福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生があります。法定福利厚生とは、法律によって定められている福利厚生のことを指します。

法定福利厚生については以下のようなものが該当します。

法定福利厚生に該当するもの
  • 健康保険
  • 労災保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 児童手当拠出金

これらの福利厚生は事業者に提供の義務が課されています。

企業に提供義務のない福利厚生である法定外福利厚生の中でも、子持ち女性にとって有益なものとしては以下のようなものが挙げられます。

子持ち女性に有益な福利厚生の例
  • 育児休暇からの復職支援制度
  • 子連れでの参加OKの社内イベント
  • 病児保育サービス
  • 育児支援金制度
  • 子供の誕生日等の特別休暇制度

仕事と育児を両立するために、子どもとの触れ合いの機会を会社の社内イベントとして設けていたり、病気になった子どもを預ける病児保育サービスを受けられる福利厚生等があれば、安心して仕事ができて子供との時間も確保できるようになるでしょう。

このような子持ち女性に優しい福利厚生がある企業へ優先的に応募することで、子持ち女性が育児と仕事を両立できる職場へ転職できる可能性は高まるでしょう。

質疑応答の想定問答を用意する

企業の面接は、以下の流れに沿って行われることが一般的です。

一般的な面接の流れ
  1. 自己紹介(自己PR)を聞く
  2. 志望動機を聞く
  3. 面接担当者からの質問
  4. 応募者からの質問
  5. 面接終了

特に応募者の自己紹介や志望動機に基づいて行われる質疑応答のフェーズは、準備の有無によって大きく選考結果を左右します。

PRTIMESがエン転職に登録したユーザーに向けて行ったアンケートによると面接で聞かれたことのある質問で最も多かったのは、「前職(現職)の仕事内容」でした。

面接で聞かれた内容ランキング
  1. 前職(現職)の仕事内容(83%)
  2. 志望理由(82%)
  3. 退職理由(77%)

面接で聞かれた内容ランキング

引用元:「ユーザーアンケート集計結果エン・ジャパン株式会社のプレスリリース

質疑応答の想定問答においても、仕事内容、志望理由、退職理由については最低限用意しておくことをお勧めします。

企業に合わせて自己PRを変える

これまでの業務経験や実績によっては、自身でアピールしたい能力が多数浮かぶケースもあるでしょう。

アピールしたい能力が沢山ある場合、全てを面接担当者に伝えることは賢明ではありません。

自己PRも含めて、応募者が採用担当者に内容を伝える際に、適切な時間は1分程度です。1分で伝えられる文字数は300文字程度と言われています。

1分で伝達できる文字数を考えると、企業の求める能力に合わせて適切なアピールをあらかじめ用意しておくことが無難でしょう。

正社員にこだわる必要はない

正社員雇用の場合、給与が高い傾向にあることから盲目的に正社員採用を目指しがちですが、子持ち女性にとっては必ずしもベストな選択肢とは言い切れません。

最適な選択をするために、選択肢の1つとして非正規雇用社員としての勤務を検討することも視野に入れておくと良いでしょう。

エンジャパンが実施したアンケートによると、子持ち女性で仕事をしている人の中での正社員の割合は8%程度しか存在しません。

子持ち女性の雇用形態の比率

引用元:「子どもを持つ女性の就業率は52% 正社員率はたったの◯% 【なぜ?】」ハフポスト

そこで、正規雇用と非正規雇用のメリット•デメリットを比較してみましょう。

正規雇用のメリット•デメリットは以下の通りです。

 

正規雇用のメリット・デメリット
正規雇用のメリット 正規雇用のデメリット
責任ある仕事内容につくことができる可能性がある。 企業によっては転勤の可能性がある。
一定の収入が保証される。 休日出勤や残業をせざるを得ないケースがある。
賞与が支給される。 責任ある立場の場合、休みを取りにくくなる可能性がある。
福利厚生が充実する。
雇用期間の定めがない。
キャリアアップしやすい。

一方、非正規雇用のメリット•デメリットは以下の通りです。

非正規雇用のメリット・デメリット
非正規雇用のメリット 非正規雇用のデメリット
自身の生活に合わせて勤務形態を柔軟に選ぶことができる。 賞与の支給がない。
自分にあった職務を選びやすい。 定期的な昇給が難しい。
転勤の可能性がない。 雇用期間の更新を打ち切られる可能性がある。
転職難易度が低い。

確かに正社員と比較した際に、賞与を貰えない、収入が低いといったデメリットはありますが、非正規雇用には勤務形態を柔軟に選べるという大きなメリットがあります。他にも、転勤がないという利点もあるため、非正規雇用も子育てにおけるメリットは多分にあるといえますね。

 

がむしゃらに正社員雇用を目指すのではなく、非正規雇用も視野に入れたうえで転職活動を行いましょう。

子持ち女性の転職先選びで重視すべき条件

エンジャパンの実施したアンケート調査によると、子持ち女性の68%が「家事や育児などプライベートと両立できる程度で働きたい。」と回答しています。

子持ち女性の求める働き方

引用元:「子どもを持つ女性の就業率は52% 正社員率はたったの◯% 【なぜ?】」ハフポスト

子持ち女性が育児や家事と仕事を両立できる転職先を選ぶ際には、どのようなものを基準に転職活動を行えば良いのでしょうか?

ここからは子持ち女性が育児や家事と仕事を両立できる転職を成功させるために、重視すべき要素をご紹介します。

通勤時間

子どものお迎えや家事をこなすため、出来れば仕事が終わればすぐにでも家に着きたいのが子持ち女性の本音ですよね。

通勤時間が長いと、子どもの病気や怪我で学校から連絡があった際にもすぐに駆けつけることができません。家に遅く到着することで、家事にも支障をきたすことも考えられます。

通勤時間は子持ち女性にとって優先的に考慮すべき要素です。

時短勤務の可否

子どもの年齢によっては、時短勤務が出来るかどうかも重要な判断基準になるでしょう。

株式会社マクロミルの実施した調査によると産休、育休復帰後の女性の働き方として、19%が時短勤務で働いています。

また、仕事に対する満足度において時短勤務の方が上回っています。

引用元:「産休・育休復帰後の働き方、時短勤務は19%で少数派。(マクロミル調べ)株式会社マクロミルのプレスリリース

時短勤務をすることで周囲から育児に対する理解を得られた状態で仕事できることが満足度につながっています。

時短勤務によって、育児や家事に費やす時間が増えるだけでなく、周囲からの理解が得られることで仕事がしやすくなることもメリットの1つと言えるでしょう。

育児休暇制度の有無

育児休暇制度の有無も今後、第二子以降を出産することを考慮した際に重要な要素です。

会社によっては、育児休暇制度があるにも関わらず取得できる雰囲気ではないため、実際は取得されていないようなケースもあります。

そのため、育児休暇の取得実績も含めてチェックするようにしましょう。

子持ち女性の比率

子持ち女性の比率もチェックすべきポイントです。

子持ち女性の比率が高ければ、育児や家事のために仕事を切り上げる必要があるような状況でも、理解されやすいでしょう。

子持ち女性の比率を公開している企業はほとんどないため、面接の際に質問するか、ホームページ等に掲載されている社員インタビューを見ることである程度推測できるでしょう。

リモートワークの可否

もしリモートワークが可能な業務である場合は、リモートワークが可能であるかどうかもチェックしておきましょう。

子持ち女性の転職でおすすめの資格

子持ち女性が転職の際に有利になる資格はどのようなものがあるのでしょうか?

子持ち女性の転職に有利になる資格取得

今回は子持ち女性が比較的取得しやすい資格についてご紹介します。

日商簿記

簿記を学ぶことで、企業の財務状況や経営成績を明確化することが出来るようになります。

日商簿記は1級〜3球までありますが、1級資格の合格率は5〜14%程度で仕事や育児と両立して行うことが出来る勉強量ではありません。

そのため、日商簿記を取得する際は2級資格を目標として勉強することをお勧めします。

2級資格も相応の難易度ではありますが、取得することで他の応募者と大きな差をつけることが出来るのでチャレンジするのも選択肢の1つです。

簿記資格を保有することで、転職に有利になる職種は以下の通りです。

簿記資格で転職が有利になる職種
  • 経理職
  • 会計事務職
  • 監査職
  • 営業事務職

医療事務

医療事務資格は、合格率が高い資格が多いため、カジュアルに取得しやすい資格です。

また、医療事務の求人は全国各地にあり、雇用形態も充実しているため、家から近い職場で柔軟に働くことが出来る可能性が高い職業と言えるでしょう。

調剤薬局事務

調剤薬局事務に関する資格も、合格率が比較的高く、60%前後であるものが多いです。

調剤薬局事務の仕事も、全国各地に求人があるため、医療事務と同様、家から近い場所で勤務出来る可能性が高いでしょう。

まとめ

今回は子持ち女性を取り巻く転職市場の現状や、転職の際に注意すべき点、転職の際に重視すべき基準やおすすめの資格についてご紹介してきました。

子持ち女性にとって育児や家事と両立できる職場環境への転職を成功させるためには、子持ち女性に適した転職先選びの基準を定めて、求人を吟味する必要があります。

この記事を参考にしながら、家族との時間を大切にしながら仕事ができる転職先を見つけましょう。

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