「転職に失敗した!!でもすぐに辞めたら転職で不利になりそう...」
こんな不安を抱える人も少なくないでしょう。
わずかな期間で会社を辞めると、不利になるかどうかは早期退職した理由によってケースバイケースです。
筆者はリクルートで数百社の法人で転職者採用の支援を行ってきました。
もちろん採用の進捗状況についても都度ヒアリングしてきたため、どのような応募者が不採用となるのかも熟知しています。
私の経験上、転職に失敗してすぐ辞めた転職希望者で不利になる退職理由とそうでない退職理由についても解説します。
- 転職に失敗してすぐに辞めてしまう理由
- 転職に失敗した際にすぐ辞めるデメリット
- 次は転職に失敗しないための会社選びの方法
- 転職に失敗してすぐ辞める際の注意点
この記事を読んで、転職に失敗してすぐに辞めるべきかどうかを客観的に判断できるようになりましょう。
転職に失敗してすぐ辞めてしまう理由
転職に失敗して、
- この環境は自分には合わないな、、
- 聞いていたことと違うじゃないか!
このように感じて、すぐにでも転職したての会社を辞めたい人は数多くいます。
ではどのような理由で転職先を早期退職する人が多いのでしょうか?
人間関係が合わない
転職先に入社した直後に上司や部下との人間関係が合わないと感じて辞める人も少なくありません。
入社直後にはお互いの人間性をよく知らないまま、会話することになります。
なんとなく発した一言で、相手を意図せず傷つけてしまうことも十分に起こり得るでしょう。
相手を傷つけてしまった結果、入社したての会社での人間関係にヒビが入ってしまいます。
入社した側からすれば、社内の人間に嫌われたとしても、立場的にも何もできないですよね。
このような理由から人間関係が問題ですぐに辞めてしまうことも。
というのも、人間関係に関する問題はどの職場でも起こりうることであり、採用担当者に「うちに入社しても、人間関係で問題を起こしかねない。」という印象を抱かせることに繋がるからです。
面接時と給与などの条件が異なる
面接の時に聞いていた給与や休み等の条件が、実際に入社してみると全く違うと誰でも辞めようと考えるのが普通です。
有り得ないと思うかもしれませんが、あまり確認もせずに面接時に口頭で給与や休みを伝える面接官も中にはいるんです。
結果、いざ入社してみると聞いていた内容と違うということがあります。
また、労働基準法で、企業に労働条件通知書の交付が義務付けられています。
労働条件通知書には賃金の計算方法や休日、休暇、業務内容等の条件が記載されています。
この労働条件通知書と実態が異なることもあります。
このような企業に転職してしまった場合は、すぐ辞めても問題ありません。
転職の際にも大半の企業は事情を話すことで理解してくれるので、不利になることもないでしょう。
業務内容が聞いていた内容と違う
業務内容が聞いていた内容と違うこともままあることです。
本当に募集したい職種が不人気で採用できないあまり、他の人気のある職種で採用をして全く異なる仕事をさせるブラック企業も中にはあるのです。
有名な求人サイト等ではこのようなことがあるのは稀ですが、ハローワークでは無料で求人が出せるため、企業も玉石混交です。
そのため、中にはそういう企業があるのです。
労働条件通知書の「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」と現状の業務が違う場合は、労働契約を即刻解除できると労働基準法で定められています。
法的に当然の行為をしたまでなので、転職時に不利になることもまずないです。
業務で自身の成長が見込めない
任せられた業務が単調で簡単なものであった場合、自分の成長が見込めないと感じてすぐに辞めることもあるでしょう。
しかし、求人の業務内容を見たり、面接時に逆質問で詳しい仕事内容を確認することはできますよね。
こればかりは、応募者側に非があるとみなされることが多いと思います。
このような理由から、転職に失敗してすぐ辞める人が多いと考えられます。
転職に失敗した際にすぐ辞めるデメリット
転職に失敗したとしても、業務内容や給与等の労働条件が実際と違った場合等はすぐに辞めてもこれといったデメリットはありません。
では、こういった特別な事情がない場合には、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
転職活動で不利になる
転職に失敗した際にすぐ辞めると、どうしても転職活動では不利になることは否めません。
例えば、選考の際に
Bさん:前々職を5年勤務、前職を1ヶ月で退職
Cさん:前職を2年勤務
※それぞれ募集業務を行なっていたものとする。
この3人がテーブルに上がってきました。
採用人数は1人です。
書類選考でまず落としたくなるのはあなたなら誰ですか?
経験を求めているのであれば、恐らく初めはCですね。
その後、AさんとBさんを面接して、実績の再現性があるかを確認するでしょう。
実績も同程度であれば、早期退職したことがネックとなり、Aさんが採用されることになります。
もしAさんの方が実績がめざましく、欲しいと感じた場合は、早期退職をした理由を聞いて、うちでもすぐに辞めないか慎重に考慮した上で採用されることになるかと思います。
このように、早期退職することで、採用担当者に「うちに入社しても辞めるかもしれないな。」という懸念を抱かせることにはつながります。
社会保険料が増える
次の転職先が見つかるまでの間の社会保険料の支払いが増えることは覚悟しておく必要があります。
退職したその日から前職で加入していた社会保険は失効します。
社会保険を継続する選択肢は取ることができますが、これまでのように会社が社会保険料を折半してくれることは無くなります。
会社を辞めてから、転職するまでには以下の3通りの選択肢が考えられるでしょう。
- 国民健康保険への切り替え
- 社会保険の継続
- 家族の扶養に入る
国民健康保険への切り替えが一般的ではありますね。
しかし、前職の社会保険に関する福利厚生が良い場合は、継続するという選択肢もありです。
ただし、継続して2ヶ月以上の被保険期間が必要なので、それより短い期間で辞めてしまったら、継続は難しいでしょう。
家族で他に勤めている方がいる場合は、扶養に入ることで健康保険料を大幅に抑えることができる可能性があります。
ここまでを踏まえると、以下のように考えることがおすすめです。
条件 | 取るべき選択肢 |
福利厚生が充実して、かつ2ヶ月以上在籍している | 社会保険の継続 |
家族で他に会社勤めの人がいる | 家族の扶養に入る |
上の2つに当てはまらない | 国民健康保険への切り替え |
国民健康保険料は、前年度の収入に応じて決まるため、会社と折半して支払っていた保険料よりも高くなってしまいます。
家族の扶養に入る選択肢以外は、社会保険料は増えてしまうと考えておきましょう。
退職から転職までの期間が長くなる
転職してすぐに会社を辞める場合は、次の転職先を見つける時間の余裕なんかないですよね。
当然、転職先が決まるまでは無職の期間が続いてしまいます。
転職には3ヶ月程度は時間を要すると考えられるため、その間はアルバイトやそれまでの貯蓄で生活しないといけません。
生活費を稼ぐためにアルバイトをしながら、転職活動することは容易なことではありません。
この様なリスクがあることは心にとどめておきましょう。
次は転職に失敗しないための会社選びの方法
転職した会社をすぐに辞めようとしているあなたは「次こそは転職に失敗したくない!」という気持ちが強いはずです。
ここでは、次の転職先で失敗しないための会社選びのやり方について解説します。
退職理由の本質を追求する
早期退職につながった理由になぜ?を5回繰り返すことで退職理由の本質に迫ることができます。
例えば下記の様なイメージです。
- 人間関係が合わなかった
- 体育会系の人が多かった
- 気合いでなんとかする発想の人が多かった
- 社長がワンマンで体育会系だった
- 役員陣が昔から会社にいたイエスマンばかりだった
今回の例だと「役員陣がイエスマンばかりだった」、「社長がワンマンで体育会系だった」このあたりが本質的な退職理由だと考えられそうです。
退職理由の本質を会社選びの基準として生かす
この本質的な退職理由を会社選びの基準として生かすことで、転職先でも同じ様な失敗が起こりにくくなります。
今回の例の場合、
- 役員がイエスマンばかりだった →様々な業界出身の人がいて、社歴が浅い役員陣が多い会社
- 社長がワンマンで体育会系だった →社長インタビューで人柄を確認できる会社
これらが転職先の会社選びの基準として有効に機能しますね。
このように、しっかりと退職理由を深掘りして、2度と同じ失敗を繰り返さないように会社選びの基準として反映させることが大切です。
転職に失敗してすぐ辞める際の注意点
転職に失敗してすぐ辞める際には、いくつか気を付けておくべき点があります。
退職理由をプラスに変換する
退職理由としてマイナスのことを伝えるのは辞めましょう。
短期間で退職して、さらにマイナスの退職理由だと「この人はどんな職場でも不満ばかりを口にして、辞めていくのだろうな。」という印象を面接官に与えてしまうだけです。
いくらこれまでの実績があっても、そのような印象を持った人を採用することはないでしょう。
でも、早期退職する訳ですから、本音を言えばマイナスの退職理由でしかないという人がほとんどでしょう。
うまくプラスに言い換えることが大切になります。
- 社内の人間関係が悪い →チームでの人との関わりを大切にしながら働きたい 意思疎通を大切にしながら業務効率を上げたい
- 残業が多い →成果から逆算して効率的に業務を行いたい 成果を正当に評価されたい
- 社長がワンマンで理不尽→積極的に社内で提案をして会社の利益に貢献したい、業務範囲外でも、会社の戦略面での提案も積極的に行いたい
このように退職理由はプラスに転換して伝えることが大切です。
面接で前職の愚痴やマイナス要素を伝えない
面接の際には、前職の愚痴やマイナス要素を伝えることは絶対にやめるべきです。
基本的に前職も良い部分が沢山あったけれども、自身の成長や働き方を考えて、転職を決意したというスタンスが大切です。
雇用保険や社会保険に未加入であれば履歴書等への記載不要
雇用保険や社会保険にまだ加入していない状態(保険証を受け取っていない)で退職した場合は、特に履歴書や職務経歴書への記載は不要です。
なぜなら未加入の状態であれば、次の転職の際にバレることがないからです。
早期退職した事実を知られることがないのに、わざわざ知らせる必要はありません。
まとめ
今回は転職に失敗した際にすぐ辞めるべきかどうかを判断するために必要な知識や、すぐ辞める際に知っておくべき注意点についてご紹介しました。
給与が聞いていた額面と違うなど、すぐ辞めるべき状況も中にはあります。
そのような場合は、すぐ辞めても転職活動にはあまり支障はないでしょう。
ただし、いずれにせよ退職してから転職するまでの期間の生活費に困る可能性は高いです。
転職に失敗したとしても、すぐに退職するかどうかは状況に応じて慎重に検討しましょう。