仕事を辞めたいけど辞められない理由毎の対処法 | 悪質な引き留めにはどう対応すべき?

仕事を辞めたいけど辞められない理由には様々な葛藤があると思います。

  • 自身の後任がいないことが気がかりだ。。
  • 会社からの引き留めにあっている。
  • 上司が怖くて退職を切り出せない。。
  • 辞めて転職先があるか不安だ。

このような悩みを抱える方も少なくないでしょう。

この記事では仕事を辞めたくても辞められない理由に応じた対処法や悪質な引き留めへの適切な対応方法等を解説します。

この記事を読み終わった頃には、あなたも適切な対処法を知ることで仕事を後ろ髪を引かれることなく退職の申し出を行うことができるようになっていることでしょう。

この記事を読んでわかること
  • 仕事を辞めたいけど辞められない場合の適切な対処方法
  • 悪質な引き留めへの適切な対処方法
  • 仕事を辞めてもいい状況について
  • 円満退職するために知っておくべき注意点

仕事を辞めたいけど辞められない理由と対処法

仕事を辞めたくても辞められないと感じる背景には、様々な悩みがあります。

仕事を辞めることに悩むイメージ画像

仕事を辞めたいけど辞められない理由毎に対処法をご紹介します。

あなたの悩みに応じた対処法を確認しましょう。

会社の人手不足

自分が辞めた後、担当していた業務の後任がいないような場合、辞めたいけれど辞められないこともあるでしょう。

実際に退職の申し出を行ったとしても、「今君に辞められたら、君の担当している業務ができる人がいないので少し待ってほしい。」と引き止められる可能性が高いでしょう。

もし社内にあなたの担当している業務をこなせるスキルを持っている人材がいない場合、会社はあなたが退職の申し出を行ってから採用活動を行わなければなりません。

 

私のリクルートでの経験上、採用活動には最低でも3ヶ月以上かかることが想定されます。

一度の求人で応募が集まらない場合、あなたの後任の採用はさらに長期戦になるでしょう。会社のために退職を踏みとどまっても、最低3ヶ月以上在職する必要があると考えられます。

対処法

本来、人が辞めた際に引き継ぎできる人材がいないのは会社の責任です。

あなたが会社のために、数ヶ月間も退職を先延ばしにする必要性はありません。

後任の採用に実際にどれだけの期間が掛かるかを伝えた上で、後任が採用できるまでの期間を在職し続けることはできない旨を伝えましょう。

人手不足に対する想定問答
「実際に私の後任が入社するまでにかかる期間は最低でも3ヶ月程度かかると想定されます。さらに引き継ぎ等も含めると半年はかかる可能性があります。それだけの期間を、在職するのは難しいため退職させて頂ければと存じます。何卒ご理解頂けますよう、宜しくお願い致します。」

会社からの引き留め

退職を申し出た際に、退職理由によっては会社から様々な理由で引き止められるケースがあるでしょう。引き留めに従うかどうかはあくまで任意であり、義務ではありません。

ハラスメントが横行するような職場であれば、以下のような脅しを掛けていることもあるでさょう。

  • 損害賠償を請求すると脅す
  • 給与を支払わないと脅す
  • 離職票を出さないと脅す

上記の脅しのいずれも法律に抵触する行為です。

 

それぞれの脅しに対する適切な対処法は、「悪質な引き留めにあった際の対処法」で解説しています。脅しの種類に応じた適切な対処法で、退職トラブルを切り抜けましょう。

ハラスメントの横行により、退職を切り出せない

ハラスメントの横行しているような職場では、退職の申し出の際の脅しやパワハラが怖くて、退職を切り出せないこともあるでしょう。

退職の申し出の際に使われる脅しは、違法行為であるケースが大半です。悪質性が認められるパワハラも、民事上の責任として慰謝料を請求可能です。

さらに、刑事上の責任として以下のような罪に問われる可能性があります。

 名誉毀損罪(刑法第230条)

 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金。

 侮辱罪(刑法第231条)

 拘留または科料

 脅迫罪(刑法第222条)

 2年以下の懲役または30万円以下の罰金。

 暴行罪(刑法第208条)

 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

 傷害罪(刑法第204条)

 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金

引用元:「パワハラで受ける可能性のある罰則」労働問題弁護士ナビ

対処法

悪質な引き留めにあった際の対処法」を読んで、退職の申し出の際に脅しやパワハラに対して適切な対応を取れるようにしておきましょう。

それでも退職の申し出を行う勇気が出ない場合は、退職代行サービスを活用することをお勧めします。

退職代行サービスでは、退職の申し出だけでなく、退職後の必要書類の受け取りや保険証等の会社の備品の返却手続きも代行で行ってくれます。

特に弁護士が退職代行を行ってくれる退職代行サービスは、以下のようなメリットがあるためおすすめです。

弁護士の退職代行を活用するメリット
  • 退職時に万が一損害賠償請求されても対応可能
  • 賃金未払いがあっても請求を代行可能
  • うつ病等の労災認定も依頼できる
  • 退職に失敗する可能性が非常に低い

自身で退職の申し出や退職手続きのやり取りを行う際に、会社と退職トラブルに発展することが不安な場合は利用を検討することをお勧めします。

転職先の不安

「今この会社を辞めても自分の希望する年収や諸条件にあった会社に転職できるのだろうか。」このような不安を抱えて、退職を躊躇することもあるでしょう。

対処法

今の自身の業務経験や実績と求人サイトの求人内の応募要件を照らし合わせて、採用される可能性がある求人の年収帯や諸条件を確認しましょう。

求人を確認することで、今の自分の転職市場における価値を知ることができます。

 

また、自身の転職市場における価値を確認するために、転職エージェントを活用するのもおすすめの方法です。

転職エージェントが保有する求人募集中の企業データベースには、営業担当者が各企業の採用担当からヒアリングした採用したい人物像を採用要件に落とし込んだ情報が多数登録されています。

転職エージェントに自身の業務経験や実績、希望職種、年収等を伝えた上で、合格可能性がある求人をピックアップしてもらいましょう。

自身で求人サイトから求人を調べるよりも、これまで実際に求人を紹介して転職を成功させてきた実績のある転職エージェントに相談した方が、より転職可能性のある求人をピックアップできる可能性が高いと考えられます。

悪質な引き留めにあった際の対処法

悪質な引き留めはほとんどのケースにおいて、違法性が認められます。

悪質な引き留めのイメージ画像

悪質な引き留めのパターン毎に適切な対処法をご紹介します。

損害賠償請求すると脅されている場合

基本的に労働者には、退職の自由が認められています。

第627条
1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法第627条1項

ほとんどの場合、適切な退職手順を踏んだ上で、退職によって生じた損失を損害賠償請求することは認められないでしょう。

一部例外として損害賠償請求が認められる可能性があるケースについては以下の通りです。

損害賠償請求が認められる可能性があるケース
  • 仕事に何の連絡もなく来なくなった際に生じた損害
  • 有期雇用で期間内に一方的に退職した場合の損害
  • 退職時に、他の従業員の引き抜きをした場合

上記のようなケースは、損害賠償請求が認められる可能性があります。

しかし、実際に損害賠償請求が認められるかどうかは判例を見てもケースバイケースのため、上記に当てはまるからといって確実に認められるとは限りません。

退職を全面拒否されている場合

退職の申し出を有無を言わさず全面拒否されているようなケースは、退職届を内容証明郵便で会社に送付しましょう。

内容証明郵便とは「いつ、誰が、誰宛に、どのような内容を送付したか」を郵便局が証明してくれる制度です。

退職届を内容証明郵便で送付することで、退職の申し出を行った事実が証明されます。

 

民法上では、退職の申し出から2週間以上経過すれば退職が成立すると定められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法第627条1項

そのため、退職届を内容証明郵便で送付して2週間経過後は会社に行かないという手も最終手段として検討しても良いでしょう。

しかし、その後の失業保険等の申請のためにも、会社に離職票を発行してもらう必要があります。

企業は労働者から要望された場合は離職票を義務付けられているのですが、法令遵守の意識が低い会社の場合、離職票を発行しないと脅してくる可能性もあるでしょう。

このようなケースでは、弁護士による退職代行を利用することが適切な判断でしょう。

給料を支払わないと脅されている場合

会社によっては、退職日までの賃金を支払わないと脅してくることもあるでしょう。

しかし、賃金の未払いは労働基準法違反になります。

労働基準法において、賃金について以下のように定められています。

1.賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

2.賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

引用元:労働基準法第24条1,2項

これに違反した場合は、使用者(会社)に対して30万円以下の罰金が科せられます。

会社から退職日までの賃金を支払わないと宣告された場合は、会社に対して未払い分の賃金を算出した上で、賃金請求を行う旨を記載した書面を内容証明郵便で送付しましょう。

内容証明郵便で送付する書面に記載する内容は以下の通りです。

内容証明郵便への記載内容
  • 賃金未払いの対象期間
  • 未払い賃金の総額
  • 労働基準法第二十四条に違反する旨
  • 未払い賃金の支払いを請求する旨
  • 支払い期日

もし、内容証明郵便を送付後もなお、支払いの意思が会社側に見られない場合、訴訟を提起して争うことになります。

離職票を出さないと脅されている場合

退職者から要望があった際には、会社に離職票の発行が義務付けられています。

労働者が退職した場合、会社は離職日の翌日から10日以内に以下の書類をハローワークに提出することが義務付けられています。(雇用保険法第7条、雇用保険法施行規則第7条)

これに違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。

会社が手続きをしない場合、ハローワークに確認請求を行うことで、離職票の交付を受けられるケースがあります。

確認請求を行うことで、ハローワークが自身が離職している状態にあることを確認し、離職票の交付を行ってくれます。

被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。

雇用保険法8条(確認の請求)

厚生労働大臣は、第7条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認を行うものとする。

雇用保険法9条(確認)

会社が離職票を発行しないと宣告している場合は、一度ハローワークに相談しましょう。

仕事を辞めても良い状況とは

仕事を辞めてもいい状況とはどのような状況なのでしょうか。基本的に法律上、会社を辞めてはいけない状況はありません。

しかし、自身のキャリア形成を考える上で、会社を辞めることがマイナスに働くケースは少なからず存在します。自身のキャリア形成へのマイナス要素とならないような、辞めても良い状況について解説します。

うつ病を発症している場合

うつ病が進行すると、以下のような症状が出るケースがあります。

引用元:「うつ病ABCすまいるナビゲーター | 大塚製薬

実際に上記の症状のうち1,2を含んで5個以上の症状がみられる場合に、うつ病と診断する診断基準があります。(DSM-5)

 

上記のような症状を発症している状態では、今の仕事を続けるどころか最悪の場合、社会復帰が難しくなることが考えられます。

社会復帰が難しくなると、収入がほぼ無収入の状態になり、生活苦がさらにうつ病を悪化させるという負の循環に陥ってしまいます。

傷病手当等の給付金により、生活は送れるかもしれませんが、何も仕事をしていない自身の状況に嫌気が差して、うつが悪化することもあります。

そうならないためにも、早めに退職を検討することをお勧めします。

人間関係が業務に支障をきたすような場合

仕事をする以上、どうしても業務を進める上で人とのコミュニケーションは必要です。

人間関係の悪化により、日常の業務を進める上での嫌がらせ行為等が見られる場合、自身が努力しても成果を出せないケースすらあります。

そのような場合は、我慢せずに退職して自身の業務を円滑に進められる人間関係が築ける職場に転職した方が良いでしょう。

挑戦したい仕事がある場合

挑戦したい仕事がある場合は、自身のキャリアを思うように形成するために、転職した方が良いでしょう。

 

しかし新たな仕事を志す際に、未経験から挑戦できる業務の幅は年齢を経るにつれて、少なくなっていくのが現状です。

20代の間は未経験でも潜在的な素養を鑑みて、採用されるケースが多いですが、それ以上になるとこれまで在籍していた会社や組織のやり方が染み付いて、素直に業務を習得することが困難であると判断される傾向にあります。

 

そのため年齢に応じて、資格の取得等で他の応募者との差別化を図ることも重要です。

転職エージェントに合格可能性がある求人を紹介してもらう等の方法で、自身の転職市場における価値を確認してから退職することが無難です。

会社の成長が期待できない場合

会社の成長がこれ以上期待できない場合、個人で成果を出しても、給与が頭打ちになる可能性があります。

このような場合、他の成長途上の会社に転職をして、実績を出した方がより実績に見合った給与が支払われる可能性があります。

円満に仕事を辞めるために知っておくべきこと

ここまで悪質な引き留めに対する対処法や、仕事を辞めたいけど辞められない理由毎の対応方法について解説してきました。

円満に仕事をやめて、退職トラブルに巻き込まれないためには注意すべきポイントがあります。円満に仕事をやめるためには通常どのような点に注意すべきなのでしょうか。

円満退職のイメージ画像

ここでは円満に仕事を辞めるために注意すべき点について解説します。

事前に退職理由を考えておく

事前に退職理由と上司から反論された際の想定問答を作成しておくことで、引き留めに会いにくくなります。

退職理由として退職トラブルに繋がりにくくなる内容が思い浮かばない場合は、以下の記事を参照してご検討ください。

退職のタイミングを考える

会社における重大プロジェクトを任されている途中で退職する場合、退職の申し出から退職日までの期間を短くすると、後任の担当への引き継ぎが不十分となることからトラブルに発展する可能性があります。

 

もちろん退職の自由は労働者に認められている権利のため、退職の申し出を行うことは問題ない行為ですが、会社としては重大プロジェクトの責任者が突然いなくなるので何とか引き留めようとするでしょう。

 

そのため、重大プロジェクトを任されているような場合は、退職の申し出から退職日までの期間を引き継ぎも考慮した上で長くする方が会社としても納得しやすいと考えられます。

引継ぎは入念に行う

業務の引き継ぎが中途半端なまま退職すると、会社から「引き継ぎも十分に行わないまま辞めるなんて、社会人として無責任だ。」と感じられるでしょう。

退職時にはそう感じられても問題ありませんが、万が一転職先に前にいた会社の営業が出入りすることで、自身のことを悪く言われて、転職先での評価に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

また、退職後に会社のメンバーに連絡を取りづらくなる可能性もあります。

引き継ぎの期間を考慮した上で、退職の申し出から退職日までの期間を調整することをお勧めします。

まとめ

今回は会社を辞めたいけど辞められない場合の対処法について解説しました。

勇気を出して退職の申し出を行ったとしても、悪質な引き留めに会う可能性もあります。

悪質な引き留めは大半の場合、違法性が認められるので、引き留めのパターンに応じて適切な対応を行うことが重要です。

本来、労働者には退職の自由が法律によって保障されています。

そのため、恐れずに退職の申し出を行いましょう。

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