転職先が決まってなくても、一刻も早く辞めたい気持ちが抑えらないこともありますよね。
衝動的に転職先が決まっていない状態で辞めることに対して、家族や友人から猛反対を受けることも少なくないでしょう。
ベースメントアップス株式会社が行った調査によると、退職後期間が空いてから転職活動を行う人の割合はわずか13%でした。
引用元:「在職中に転職活動する人が増加中!?社会人の71%が上司に退職を伝える前に転職活動を始めていると回答!退職後に転職するのが遅い理由とは!」ベースメントアップス株式会社のプレスリリース
ほとんどの人が在職中に転職活動を行なっていますね。
転職先が決まっていない状態で退職するとどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
皆さん初めまして、私自身20代の間に、転職先が決まらない状態で2回退職したことがあります。
そんな筆者が転職先が決まっていない状態で退職する際のメリット・デメリットについてご紹介します。
- 転職先が決まっていない状態で退職するメリット
- 転職先が決まっていない状態で退職するデメリット
- 円満退職するために知っておくべき知識
転職先が決まってない状態で退職するデメリット
転職先が決まっていない状態で退職すると、どのようなデメリットが待ち受けるのでしょうか。
退職から転職まで生計維持が必要
退職してから転職するまでの期間、生計を維持する計画を立てる必要があります。
退職後の生計を維持するためには、以下のような手段を総合的に考慮する必要があります。
- 失業保険の受給
- アルバイト
- 国民保険への切り替え
- 県民税、都民税の支払い相談
- 生活費の見直し
失業保険とアルバイトの両立は注意
通常の自己都合退職の場合、失業保険の給付期間は1週間の待機期間を経た後、3ヶ月間の給付制限期間の後に初めて給付が開始します。
失業保険を受給しながら、アルバイトをすることは可能ですが、雇用保険の加入条件である週20時間以上勤務する場合、定職についたとみなされて支給を打ち切られることがあります。
アルバイトと失業保険の両立を考える際、労働時間によっては失業保険の支給自体が打ち切られる可能性があります。
詳しくはハローワーク職員に相談して、適切な労働時間内でのアルバイトを検討しましょう。
県民税(都民税)や市民税の支払い相談
県民税や都民税、市民税の支払いを滞納すると、督促状が届き、そのまま放置すると財産が差し押さえられる可能性があります。
県民税(都民税)の徴収は各自治体に委任されています。
もし支払いが困難である場合、自身の属する市区町村役場に相談しましょう。
1ヶ月あたりの支払い金額を抑えたり、支払いを先送りにしてくれるケースも少なくありません。
ここまで解説したようなことを総合的に考慮した上で、退職後の生計維持をどのようにすべきか検討する必要があります。
引き留めを断りにくくなる
退職の申し出を行った際、次の転職先が決まっていれば、上司も引き留めを諦めざるを得ません。
しかし、転職先が決まっていない場合、引き留めを受けにくい建前上の退職理由を事前に考えておいた方が円満退職しやすいでしょう。
建前上の退職理由を考える際、追及されても嘘がバレないように綿密に準備しておく必要があります。
建前上の退職理由を用意する精神的負担はデメリットといえるでしょう。
各保険や年金の手続きが面倒
転職先を決めずに退職したら、以下の3つの手続きを行う必要があります。
- 国民健康保険への切り替え
- 年金の種別変更
- 雇用保険の申請
会社単位で加入していた任意健康保険は退職日以降、失効します。
国民健康保険への切り替えを行わない場合、病気やケガの治療で医療機関を利用した際に、全額自己負担となり、経済的負担が大きくなります。
また、厚生年金から国民年金への切り替えも行う必要があります。雇用保険の申請は失業手当てを受給するために必要な手続きです。
これらの手続きには、必要書類を整えて申請する手間や時間が相応にかかります。しかし、これらの手続きを行わない場合、退職後から転職するまでの期間の生活に支障が出ます。
そのため、これらの退職後の生活をする上での必要な手続きにかかる手間と時間は、転職先を決めずに退職する際のデメリットとなります。
転職活動を落ち着いてできない
転職活動は本来、前の会社を退職した原因を繰り返さないためにも慎重に妥協することなく行うことが重要です。
しかし、退職後に転職活動を行う場合、貯蓄がなくなり金銭的に困窮した状況になると落ち着いて転職活動を行うことができなくなります。
生活ができなくなるタイムリミットが近づいてくることで、本来より自身の理想に近い転職先に就職できる可能性があったとしても、すでに採用が決定している企業への転職をせざるを得ないケースも考えられます。
金銭的な懸念から、転職活動を十分に行えなくなる場合があることもデメリットの1つです。
貯蓄が必要
通常の自己都合による退職の場合、退職してから失業保険給付までに3ヶ月+7日かかります。
この間、アルバイトをしない場合、ほぼ収入はゼロの状態となります。
さらに、国民健康保険料や住民税、生活費、光熱費などを支払う必要があります。
3ヶ月+7日分の生活費にある程度余裕を持たせて約4ヶ月分程度の生活費を貯蓄している必要があります。
もし貯蓄がない場合、消費者金融やキャッシング等による借入を行うことができますが、利率が3%~18%程度もかかる可能性があり、完済するまで債務額に応じて毎月利息がかかり続けます。
雪だるま式に借金が増えるため、お勧めできません。
自身の生活水準等にもよりますが、通常100万円程度の貯蓄があると安心できます。ある程度まとまった貯蓄が必要となることも大きなデメリットです。
転職先が決まってない状態で退職するメリット
一方で、転職先が決まっていない状態で退職するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
仕事の苦しみから解放される期間がある
仕事の苦しみから解放される期間をとれることは大きなメリットです。
大学を卒業した後、企業に就職した後に数ヶ月単位で休みを取れる機会は稀です。辞めたいと感じるほどの仕事の苦しみからずっと逃れることができないのは苦痛と言えるでしょう。
金銭的な負担にならない範囲で、リフレッシュの機会を設けるのも良いでしょう。
独立準備に時間を利用できる
独立を検討している場合、退職後の期間を利用して独立準備を行うことができます。
例えばアフィリエイトでの起業を目指すような場合、サイトを成長させるための記事を量産することも出来るでしょう。
ただし、実際に収益が発生し始めると確定申告を行う必要があります。
もし申告をしない場合、失業給付を打ち切られて不正受給とみなされて詐欺罪として処分を受ける可能性もあります。
求職活動と並行して、創業の準備や検討を行う場合は失業保険の受給が認められる可能性があります。
実際に、2014年7月に厚生労働省から「給食活動中に創業の準備•検討をする場合」を失業保険の給付対象とする旨の通達が出されています。
退職する際に知っておくべき知識
では実際に転職先を決めずに退職することを決意した際、円満に退職するためにはどのような点に注意して対処すべきなのでしょうか。
仕事を辞めたいけど辞められない場合の対処法
仕事を辞めたい辞められない理由は人によって様々でしょう。例えば以下のような理由を抱える場合が考えられます。
- 会社の人手不足
- 会社からの引き留め
- ハラスメントが怖い
- 転職先がない不安
- 退職を全面拒否されている
- 悪質な引き留めにあっている
それぞれの理由に応じて、対処方法は異なります。
例えば悪質な引き留めにあっているような場合、ほとんどの場合において違法性が認められます。
本来労働者には退職の自由が認められています。
仮に「損害賠償を請求する。」等と脅迫されたとしても、適切な退職手順を踏んだ上で退職した場合、貸借によって生じた損失の請求が認められるケースはほとんどありません。適切な退職手順を踏んでなお、悪質な引き留めに合う場合は退職届に記載した退職日以降は出勤する必要性はないと考えられます。
他にも「離職票を発行しない。」等と脅された場合、ハローワークで確認請求を行うことで、ハローワークが自身の離職状態を確認した上で離職票を発行してくれる可能性があります。
それぞれの辞めたいけど辞められない理由毎の対処法について、詳しくは以下の記事でご確認ください。
円満退職するためのポイント
円満退職するためには以下の点に注意しましょう。
なるべく早く退職の申し出を行う
退職の申し出は少なくとも1ヶ月以上前に行うようにしましょう。
法律上では退職日の2週間以上前に退職の申し出を行う場合は問題ないとされていますが、ほとんどの企業では就業規則上で1ヶ月以上前に退職の申し出を行う必要がある旨が記載されています。
退職時のトラブルに発展しないためにも、退職希望日の1ヶ月以上前に退職の申し出を行いましょう。
退職届を提出する
退職届には以下の内容を記載しましょう。
- 退職の意思表示
- 退職理由
- 退職日付
- 届出年月日
- 所属
- 氏名
- 宛名
退職届を提出するタイミングは、退職の申し出の際でも問題ありません。
退職の申し出の際に確固とした退職意思を示したい場合には、退職届をその場で提出することは有効に機能します。
業務の引き継ぎを行う
業務の引き継ぎは入念に行いましょう。
後任の担当者が自身の業務の遂行方法を網羅的に知ることができるようにするために、自身の業務に関するマニュアル作成をお勧めします。
もし引き継ぎを入念に行わないで退職した場合、「無責任な人間だ。」という印象を与えてしまい、転職先に以前の勤務先の営業が出入りしているようなケースにおいて自身の転職先での評判が下がるような話をされる可能性もゼロではありません。
まとめ
今回は転職先が決まっていない状態で退職する際のメリット、デメリットや、円満退職するために知っておくべき注意点についてご紹介しました。
もちろん仕事の苦しみから一定期間解放される等の特筆すべきメリットはありますが、デメリットの方が大きいのが事実です。
特に転職活動を納得できるまで行えなければ、次の転職先も自分に合わずに退職を検討することになる可能性が高まります。
独立を志すようなケースでもない限りは、転職先を見つけてから退職することをお勧めします。